野坂和則教授
エディスコーワン大学
野坂和則 教授
世界最新エキセントリックトレーニング
- 野坂和則 教授プロフィール
- オーストラリア ・エディスコーワン大学教授。
アメリカ合衆国のマサチューセッツ州立大学でエキセントリック運動に伴う筋損傷の研究を行う。
1995年に横浜市立大学医学部より博士号(医科学)を取得。エキセントリックトレーニング研究の第一人者として世界的に知られ、学術研究論文は260編を超える。 - 野坂教授が所属するオーストラリア エディスコーワン大学について
- スポーツが盛んなオーストラリアは、大学でのスポーツ研究も活発に行われています。西オーストラリア州のパースにあるエディスコーワン大学(ECU=Edith Cowan University)は、世界トップレベルのスポーツ科学研究でも知られています。
- 野坂教授の研究について
- エディスコーワン大学の医科学・健康科学部の教授を勤めながら、30年近く「エキセントリックトレーニング」について研究をしています。他にも筋肉の損傷や筋肉痛、筋痙攣などの研究もしています。
エキセントリックトレーニングで高齢者の健康維持や体力増進、健康寿命を伸ばす。また、一般の方の健康維持やダイエット、筋力アップを楽に行なえ効果が絶大なトレーニング法の研究をしています。 - エキセントリックトレーニングについて
- ダンベルなどの重りをゆっくり下ろすと腕の筋肉は伸され、イスにゆっくり座る時は太ももの前側の筋肉が伸されます。このように筋肉が伸ばされる事をエキセントリックと言います。
- エキセントリックトレーニングの重要性
- 一般的な筋トレとしてよく行なわれているのが、ダンベルを持ち上げてすぐ下ろすような、筋肉を縮める事を中心とした筋トレですが、それ以上に筋肉を伸ばすエキセントリックトレーニングの方が研究で重要だと分かっています。
- 筋力アップと筋肥大について
- 重りを持ち上げる事を中心とした筋トレよりエキセントリックトレーニングは筋肉により大きな負荷をかける事ができます。
筋肉に対する負荷が大きければ大きいほど、筋肥大(筋肉がつく)が起りやすく、筋力アップもしやすくなります。
ボディメイクを効率よく行うにはウエイトを上げる筋トレよりエキセントリックトレーニングが効果的です。 - 非常に軽いダンベルでも筋力アップができる
- エキセントリックトレーニングは非常に軽いダンベルでも筋力アップがする事が確認されていますが、重りを持ち上げる筋トレでは筋力アップがしない事が確認されています。
筋力アップと筋肥大を効率よく行なうには我々が研究しているエキセントリックトレーニングが最適です。 - 怪我を予防する筋肉の能力を上げる
- 肉離れや靭帯の怪我などは筋肉が伸びる時に起こります。例えば、ハムストリングスなどの肉離れは筋肉が強い力で引き伸ばされる時に起こるので、筋肉が引き伸ばされる事に対応できる筋肉を鍛えて能力を高める必要があります。
- 選手のパフォーマンスを上げる
- 球技の選手は、走って止まったり、方向転換をしたり、ジャンプして着地をする時にはエキセントリック(筋肉が引き伸ばされる)状態が常に発生しています。その為、エキセントリックトレーニングで筋肉を鍛えないとさらに競技力の向上ができない事になります。
また、筋肉が引き伸ばされる事に対応できなくなると、競技の後半で体を安定させることが出来なくなり怪我に繋がります。エキセントリックな筋力をしっかりとつけることで怪我の予防やパフォーマンスの向上に繋がります。 - 効率よく体脂肪を燃焼させる
- 我々の研究で筋肉を縮める運動より、筋肉を伸す(エキセントリック)運動の方がより脂肪が燃焼する結果が出ました。このような結果からエキセントリックトレーニングは脂肪を燃焼させるのに非常に有効なトレーニングです。
- ダイエットでリバウンドをしない体を作る
- 食事だけでダイエットをすると、筋肉も分解され量が減り基礎代謝量も落ちます。結果的に筋肉の量が減り、脂肪の量が増えるので太りやすい体になりリバウンドが発生します。
ダイエットでリバウンドをしない体を作るには、食事に加えてエキセントリックトレーニングで筋肉量はそのままで体脂肪が落とせ、基礎代謝量も維持出来ます。引き締まった、健康的なシルエットのボディラインをつくります。 - ダイエット中でも楽に筋肉を刺激できる
- ダイエット中はどうしても食事から筋トレに必要な糖質などのエネルギーを十分に摂ることが出来ません。このような状況での筋トレは「つらく、しんどい」トレーニングになります。
しかし、エキセントリックトレーニングは糖質より脂肪をエネルギーとして使われるので、十分にエネルギーを摂っていない人でも「楽に筋肉に刺激」を与え筋肉を付ける事が出来るので非常に効果的です。 - 国民病と言われる糖尿病と動脈硬化
- 今や糖尿病は日本の国民病といわれ、糖尿病患者と糖尿病予備軍を合わせると1000万人にのぼるとされます。
また、動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞などの原因になり、いずれも発症すれば深刻な状態になります。 - 糖尿病や動脈硬化のリスクを減らす
- エキセントリックトレーニングには筋肉量や筋力の向上以外にも様々な効果があります。その中でも糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病のリスクを下げます。
我々のいくつかの研究で筋肉を縮める運動より、筋肉を伸ばすエキセントリックが効果的である研究結果が出ました。 - 注目すべき結果
- 糖尿病の改善や予防に重要なインスリンの状態が良くなりました。しかも、動脈硬化の予防に大切な血液中の脂肪や悪玉コレステロールが減り、善玉コレステロールは増えました。
これらの結果から、生活習慣病の改善や予防にエキセントリックトレーニングが効果的です。 - 筋肉で作られる良薬! マイオカインとは
- 筋肉の役割は、力を発揮したり関節を動かすだけではありません。最新の研究で筋肉は色々な物質を出し、健康効果をもたらすことが分かっています。その物質を「マイオカイン 」と言います。
エキセントリックトレーニングをするとマイオカイン が多く出るのではないかと注目しています。 - 正しいトレーニングと運動
- 体に良いと思いトレーニングや運動を始める方、すでにジムなどで行なっている方もいますが、正しいトレーニングや運動をしないと体に良い作用をすることもあれば、悪い作用をすることもあります。その為、しっかりと「科学と医学」の根拠に基づいて行うことが必要です。
- 運動は副作用のない薬
- Exercise is Medicine(エクササイズ イズ メディシン)という考えがあります。日本語に直訳すると「運動は薬である」という意味です。病院などで出される薬には副作用がありますが、運動はほとんど副作用なしに色々な病気に対して予防や治療効果があることが研究で分かっています。
運動を薬として使うためには、処方を間違えると体に害を与えることになるので、正しい「科学と医学」の知識や情報が必要になります。